
「内定率94.8%」——このニュースを見て、あなたはどう感じただろうか。
「ほとんどの人が内定を取れているんだ」と安心した人もいれば、「自分は残りの5%に入ってしまうのでは」と不安を覚えた人もいるだろう。
2025年12月1日時点で、リクナビが発表した大学生(大学院生除く)の就職内定率は94.8%。これは前年と比較して**-1.8ptという結果だ。同時に発表された進路確定率は92.5%**(前年比-1.5pt)。一見すると高い数字に見えるが、この「前年比マイナス」という事実が示唆するものは何か。
本記事では、この調査データを多角的に分析し、2026年卒の就活市場で何が起きているのか、そしてあなたが今すぐ取るべきアクションは何かを徹底解説する。
まず、このデータの出典と調査設計を確認しておこう。信頼できるデータかどうかを判断することは、情報リテラシーの基本だ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査主体 | 株式会社リクルート(就職みらい研究所) |
| 調査名称 | 就職プロセス調査(2026年卒) |
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 調査対象 | リクナビ2026に登録したモニター |
| 登録者数 | 5,324人(大学生4,286人/大学院生1,038人) |
| 有効回答数 | 大学生774人/大学院生285人 |
| 調査期間 | 2025年12月1日〜12月8日 |
この調査はリクナビ登録者を対象としているため、就活に積極的な層がサンプルに含まれやすい傾向がある。つまり、実際の全大学生における内定率は、この数字よりやや低い可能性も考慮すべきだ。
よく混同されがちだが、「内定率」と「進路確定率」は異なる指標だ。
つまり、内定は持っているが「どこに行くか決められていない」学生が約2.3%存在するということになる。この層は、複数内定を抱えて悩んでいるか、あるいは内定先に納得できていない可能性がある。
2013年卒から2026年卒までの内定率推移を見ると、コロナ禍で一時的に落ち込んだものの、近年は回復基調にあった。しかし、2026年卒で**-1.8pt**という下落は、何らかの変化の兆しかもしれない。
考えられる要因は以下の通りだ:
1. 企業の採用厳格化
2. 学生の就活行動の変化
3. ミスマッチの顕在化
同調査では、内定取得先の業種や従業員規模も公表されている。傾向として:
つまり、「どこを受けるか」によって内定率は大きく変わる。大手一本狙いで苦戦している人は、視野を広げることで状況が改善する可能性がある。
調査では、学生が就活で苦労したこと(複数回答)も発表されている。上位は以下の通り:
これらは毎年上位に来る項目だが、2026年卒では特に「面接」への苦手意識が目立つ。
調査に寄せられた自由記述コメントから、いくつかピックアップする:
「自分の考えを簡潔に伝えることが難しかった」
「自分のやりたいことが見つからなかった」
「準備不足のまま面接に臨んでしまい、後悔している」
これらの声から見えてくるのは、**「準備の質」**が就活成否を分けるという事実だ。
| 苦労した点 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 面接(対面) | 緊張、経験不足 | 模擬面接を最低10回実施 |
| 自己分析 | やり方が分からない | モチベーショングラフ活用 |
| ES作成 | 文章力不足 | PREP法で構成を固める |
| 企業研究 | 時間不足 | 業界研究→企業研究の順序徹底 |
| スケジュール管理 | 複数並行で混乱 | Notionなどでタスク管理 |
就職先を確定する際の「決め手となった項目」(複数回答)では、以下が上位となった:
| 順位 | 項目 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 自らの成長が期待できる | 50.1% |
| 2位 | 福利厚生(住宅手当等)や手当が充実している | 47.3% |
| 3位 | 希望する地域で働ける | 40.9% |
「最も決め手となった項目」(単一選択)では:
| 順位 | 項目 | 割合 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 自らの成長が期待できる | 17.1% | -4.3pt |
「成長」を最重視する学生は依然として最多だが、前年より**-4.3pt**という大幅減少は注目に値する。
仮説1:「成長」という抽象概念への疲れ
仮説2:具体的条件へのシフト
仮説3:ワークライフバランス志向
企業側はこの変化を踏まえ、「具体的にどう成長できるのか」を明示する必要があるだろう。学生側も、抽象的な言葉に惑わされず、具体的なキャリアパスを確認することが重要だ。
12月時点で内定がない場合、焦りは当然だ。しかし、焦って自暴自棄になることだけは避けてほしい。
今からでも間に合うルート:
年内選考を実施している企業を狙う
冬採用・春採用枠を活用
エージェントを活用する
□ 自己分析を見直す(強み・弱み・価値観の再整理)
□ ESを5社分書き直す(人に見せてフィードバックをもらう)
□ 模擬面接を3回以上実施(友人、OB/OG、エージェント)
□ 企業リストを30社作成(業界・規模を分散させる)
□ 就活軸を言語化する(なぜその企業なのかを説明できるように)
別の調査(学情)によると、2027年卒の11月末時点での内々定率は29.3%。理系に至っては4割近くが早期内定を取得している。
これが意味するのは、**「3年生の夏までが勝負」**という新常識の到来だ。
| 時期 | やるべきこと |
|---|---|
| 3年4〜5月 | 自己分析開始、業界研究スタート |
| 3年6〜8月 | サマーインターン参加(複数社) |
| 3年9〜11月 | 秋冬インターン、早期選考エントリー |
| 3年12月〜 | 本選考ラッシュ、面接対策強化 |
調査によると、インターン等の「選考経験」と「本選考」の関係性も明らかになっている。インターンで高評価を得た学生は、本選考で優遇されるケースが増加中だ。
| 順位 | 項目 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 人柄や性格 | 59.5% |
| 2位 | 自社への熱意 | 43.5% |
| 3位 | 汎用的スキル | 42.6% |
最も注目すべきは、**「汎用的スキル」で企業の期待と学生の実力に14.3%**のギャップがあるという点だ。これは全項目中最大のギャップである。
汎用的スキルとは:
これらは「どの会社でも使えるスキル」であり、企業はここを重視している。学生は、ガクチカや自己PRで具体的なエピソードを通じて、これらのスキルを証明する必要がある。
調査では、就活で参考になった情報源(上位5つ)も公表されている。
これを活用することで、効率的な情報収集が可能だ:
特に、OB・OG訪問は「リアルな情報」を得られる貴重な機会だ。積極的に活用しよう。
内定がある人:
内定がない人:
2027年卒の人:
就活は情報戦だ。正確なデータを正しく読み解き、自分の行動に落とし込む。そうすることで、「なんとなく」ではなく「根拠を持って」意思決定ができるようになる。
本記事で紹介したデータは、あくまで「全体の傾向」だ。あなた自身がどう動くかで、結果は大きく変わる。
焦らず、しかし着実に。一歩ずつ前に進んでいこう。
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