
「成長できる環境より、働きやすい環境を選びたい」
こう考える就活生が増えている。リクルートの「就職プロセス調査(2026年卒)」によると、就職先を確定する際の決め手第2位は**「福利厚生(住宅手当等)や手当が充実している」で47.3%**。
1位の「自らの成長が期待できる」(50.1%)とわずか2.8ポイント差だ。しかも、「成長」は前年比-4.3ptと減少傾向にある一方、福利厚生への注目度は年々上昇している。
本記事では、なぜZ世代は福利厚生を重視するのか、そして企業の福利厚生をどう評価すべきかを解説する。
| 順位 | 項目 | 割合 |
|---|---|---|
| 1 | 自らの成長が期待できる | 50.1% |
| 2 | 福利厚生や手当が充実 | 47.3% |
| 3 | 希望する地域で働ける | 40.9% |
| 4 | 会社の安定性がある | 38.7% |
1. 可処分所得の実質目減り
物価上昇、社会保険料の増加により、額面給与が上がっても手取りは増えにくい。福利厚生による「非課税の恩恵」が魅力的に映る。
2. 住居費問題
特に都市部では家賃が高騰。月3〜5万円の住宅手当は、実質的に年収40〜60万円アップに相当する。
3. ワークライフバランス志向
Z世代は「仕事一辺倒」を避ける傾向がある。有給取得率や残業時間も、重要な判断基準となっている。
4. コロナ禍の経験
在宅勤務を経験した世代は、「会社にいる時間=仕事の価値」という考えから解放されつつある。
| 特徴 | 就活への影響 |
|---|---|
| デジタルネイティブ | 情報収集力が高く、企業の実態を調べやすい |
| 社会課題への関心 | 企業の社会的責任(CSR)も評価対象 |
| 多様性の尊重 | 画一的な働き方を敬遠 |
| プライベート重視 | 仕事とプライベートの両立を求める |
| 安定志向 | 終身雇用を期待しないが、倒産リスクは避けたい |
Z世代にとって、福利厚生は単なる「お得」ではない。それは**「人生の選択肢を増やす手段」**だ。
福利厚生は、「自分らしい生き方」を支える土台なのだ。
| 順位 | 福利厚生 | 注目理由 |
|---|---|---|
| 1 | 住宅手当・家賃補助 | 都市部生活の必須条件 |
| 2 | 有給取得率 | 取れる雰囲気かどうか |
| 3 | 残業時間 | ワークライフバランスの指標 |
| 4 | 育児休業制度 | 将来のライフプランに影響 |
| 5 | リモートワーク制度 | 通勤時間の削減 |
| 6 | 研修・自己啓発支援 | スキルアップの機会 |
| 7 | 退職金制度 | 長期的な資産形成 |
| 8 | 健康診断・人間ドック | 健康への投資 |
| 9 | 社員食堂・食事補助 | 日常の節約に直結 |
| 10 | フレックスタイム制 | 生活スタイルに合わせた働き方 |
住宅手当月3万円の場合の効果:
| 項目 | 計算 |
|---|---|
| 年間支給額 | 3万円 × 12ヶ月 = 36万円 |
| 5年間の総額 | 36万円 × 5年 = 180万円 |
| 給与換算(税込相当) | 約45万円/年 |
住宅手当は非課税のため、額面より実質的な価値が高い。
企業の採用ページには「充実した福利厚生」と書いてあっても、実態は異なることがある。
確認すべき3つの視点:
1. 制度の「有無」ではなく「運用実態」
2. 「入社時」と「数年後」で変わる可能性
3. 「制度がある」と「使える雰囲気がある」は別物
| 情報源 | 確認できること |
|---|---|
| 採用ページ | 制度の概要、支給額 |
| OpenWork | 実際の残業時間、有給取得率 |
| OB・OG訪問 | 制度の使いやすさ、雰囲気 |
| 会社説明会での質問 | 直接人事に確認 |
| IR資料(上場企業) | 経営状況、人件費推移 |
単純な年収比較では見えないものがある。
| 項目 | A社(年収400万) | B社(年収360万+福利厚生) |
|---|---|---|
| 基本給 | 400万円 | 360万円 |
| 住宅手当 | なし | 月5万円(年60万円相当) |
| 昼食補助 | なし | 月1万円(年12万円相当) |
| 交通費 | 実費精算 | 月3万円上限 |
| 残業時間 | 月平均30時間 | 月平均10時間 |
| 実質年収 | 約400万円 | 約420万円相当 |
| 自由時間 | 少ない | 多い |
残業時間が多いA社は、時間単価で見ると低くなる。
B社は年収は低いが、福利厚生と自由時間を加味すると「時間当たりの報酬」は高い可能性がある。
批判1:「福利厚生より成長を選べ」
→ 反論:成長と福利厚生は二項対立ではない。充実した福利厚生があるからこそ、安心して成長に集中できる。
批判2:「甘えている」
→ 反論:限られた時間で成果を出す効率的な働き方は、むしろ「厳しい」選択。長時間労働による成果は持続可能ではない。
批判3:「転職で条件は変わる」
→ 反論:最初のキャリアで得られる条件は、その後の交渉材料になる。スタート地点は重要。
福利厚生を重視することは、**「自分の人生を大切にすること」**の表れだ。
仕事は人生の一部であり、すべてではない。仕事以外の時間を充実させることで、結果的にパフォーマンスも向上する。
「福利厚生について教えてください」
これでは「待遇だけ気にしている」と思われる可能性がある。
「入社後、仕事とプライベートを両立している社員の方の働き方について教えてください」
「若手社員の方の1日のスケジュールを教えていただけますか」
「御社で長く働いている方の特徴を教えてください」
これらの質問から、間接的に福利厚生の実態を把握できる。
| 知りたいこと | 聞き方 |
|---|---|
| 残業時間 | 「繁忙期と閑散期の働き方の違いは?」 |
| 有給取得 | 「社員の方はどんな時にお休みを取られますか?」 |
| 育休 | 「ライフステージの変化に対応した制度は?」 |
| リモート | 「コロナ後の出社頻度は?」 |
Great Place to Workなどの調査結果は、福利厚生だけでなく職場環境全体を評価している。
OpenWork、転職会議などで、福利厚生のスコアをチェック。
大企業ほど制度は整っていないが、ユニークな福利厚生を提供するベンチャーもある。
ユニークな福利厚生例:
消費者向け(BtoC)企業に比べ、BtoB企業は知名度が低いが、福利厚生が充実していることが多い。
1. 採用競争力の向上
福利厚生が充実している企業は、優秀な人材を集めやすい。
2. 離職防止
福利厚生は「辞めにくくなる要因」にもなる。転職すると失う恩恵がある。
3. 生産性向上
健康経営への投資は、長期的に生産性向上につながる。
福利厚生はコストがかかる。業績悪化時には削減対象になる可能性もある。
確認ポイント:
□ 志望企業の福利厚生一覧を作成する
□ OpenWorkで口コミ評価を確認する
□ OB・OG訪問で「本当に使えるか」を聞く
□ 年収だけでなく実質年収で比較する
□ 面接での逆質問を準備する
福利厚生を重視することは、決して「甘え」ではない。自分の人生を大切にするための、賢い選択だ。
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