
「振り返りをしろと言われても、何をどうすればいいか分からない」 「PDCAはやっているけど、正直形骸化していて意味を感じない」 「もっと効果的に成長できる振り返り方法はないのだろうか」 「忙しくて振り返りの時間なんて取れない」
こんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
「振り返り」は成長に欠かせないプロセスです。しかし、多くの人が正しい振り返りの方法を知らないまま、なんとなく済ませてしまっています。
特に有名な「PDCA」は、多くの企業で導入されていますが、実際には**「形だけのPDCA」**になっていることが少なくありません。毎週PDCAシートを書いているけど、書くこと自体が目的になってしまい、実際の改善につながっていない…そんな経験はありませんか?
この記事では、PDCAを超える5つの振り返りフレームワークを紹介します。それぞれの特徴、使いどころ、具体的な実践方法まで詳しく解説します。状況に応じて使い分けることで、振り返りの質が劇的に向上し、成長スピードが加速します。
この記事を読むと分かること:
新入社員からマネージャーまで、すべてのビジネスパーソンに役立つ内容です。
まず、PDCAについて簡単におさらいしましょう。
PDCAは、品質管理の父と呼ばれるW・エドワーズ・デミングが提唱した改善サイクルです。
| ステップ | 意味 | 内容 |
|---|---|---|
| P(Plan) | 計画 | 目標を設定し、計画を立てる |
| D(Do) | 実行 | 計画に基づいて実行する |
| C(Check) | 評価 | 結果を検証する |
| A(Action) | 改善 | 検証結果に基づいて改善する |
このサイクルを回すことで、継続的な改善が可能になるという考え方です。
PDCAは優れたフレームワークですが、多くの組織で形骸化しています。
PDCAが形骸化する主な理由:
| 問題点 | 具体例 |
|---|---|
| Planに時間をかけすぎる | 計画段階で完璧を求め、実行に移れない |
| Checkが曖昧 | 「頑張った」「まあまあ」など定性的な評価 |
| Actionが次のPlanに反映されない | 改善点を特定しても、次に活かされない |
| サイクルが遅い | 週1回、月1回のPDCAでは変化に追いつけない |
| 書くことが目的になる | PDCAシートを埋めることが目的化 |
「形だけのPDCA」の典型例:
PDCAには、構造的な限界もあります。
PDCAの限界:
| 限界 | 説明 |
|---|---|
| 変化のスピードに対応できない | 週1回のサイクルでは、日々の変化に追いつけない |
| 予測可能な状況を前提としている | 不確実性の高い状況では、計画通りにいかない |
| 個人の内省に不向き | 業務改善向けで、自己成長の振り返りには適さない |
| ネガティブな振り返りになりがち | 「できなかったこと」に焦点が当たりやすい |
PDCAの限界を補うために、状況に応じた複数のフレームワークを使い分けることをおすすめします。
次章では、PDCAに代わる(または補完する)5つの振り返りフレームワークを紹介します。
最もおすすめの振り返りフレームワークです。シンプルで分かりやすく、個人でもチームでも使えます。
KPTとは:
| 要素 | 意味 | 問いかけ |
|---|---|---|
| K(Keep) | 続けること | うまくいっていること、継続すべきことは何か? |
| P(Problem) | 問題点 | うまくいかなかったこと、課題は何か? |
| T(Try) | 試すこと | 次に試してみること、改善アクションは何か? |
KPT法の特徴:
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| シンプル | 3つの項目だけで完結 |
| ポジティブ | 「Keep」から始めることで、良い点にも目が向く |
| アクション志向 | 「Try」で次の行動が明確になる |
| 汎用性が高い | 個人、チーム、プロジェクト、日次、週次など何にでも使える |
KPTの具体例(日次振り返り):
【K:Keep(続けること)】
- 朝一番にメールチェックをして即レスできた
- 会議中にメモを取る習慣が続いている
【P:Problem(問題点)】
- 午後に集中力が切れて、作業効率が落ちた
- 〇〇さんへの報告が遅れた
【T:Try(試すこと)】
- 明日は昼食後に5分間ストレッチをしてみる
- 報告事項はその日のうちに済ませるルールを作る
KPTを効果的に行うコツ:
日本発のシンプルな振り返りフレームワークです。KPTと似ていますが、時系列で振り返る点が特徴です。
YWTとは:
| 要素 | 意味 | 問いかけ |
|---|---|---|
| Y(やったこと) | 事実 | 今日(今週)何をやったか? |
| W(わかったこと) | 学び | そこから何を学んだか?何に気づいたか? |
| T(次にやること) | 行動 | 次に何をやるか? |
YWT法の特徴:
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 時系列で考えやすい | 「やったこと」から始めるので、振り返りやすい |
| 学びを言語化できる | 「わかったこと」で内省が深まる |
| 日本語で覚えやすい | 「やった・わかった・次やる」と覚えられる |
YWTの具体例(週次振り返り):
【Y:やったこと】
- 新規プロジェクトの企画書を作成した
- クライアントとの定例会議を3回実施した
- チームメンバーへの中間レビューを実施した
【W:わかったこと】
- 企画書は細かく書きすぎると伝わりにくいことがわかった
- クライアントは「スピード」を重視していることがわかった
- 中間レビューを早めにやると、手戻りが減ることがわかった
【T:次にやること】
- 次の企画書は「1枚サマリー」から作成する
- クライアントへの報告は即日を心がける
- 大きなタスクは25%完了時点でレビューを受ける
KPTとYWTの使い分け:
| フレームワーク | 向いている場面 |
|---|---|
| KPT | 課題解決・改善に重点を置きたい時 |
| YWT | 学びの言語化・自己成長に重点を置きたい時 |
変化の激しい状況に適した意思決定フレームワークです。元々は軍事戦略から生まれました。
OODAとは:
| 要素 | 意味 | 内容 |
|---|---|---|
| O(Observe) | 観察 | 状況を観察する、情報を集める |
| O(Orient) | 状況判断 | 観察結果を分析し、状況を理解する |
| D(Decide) | 意思決定 | 何をするか決める |
| A(Act) | 行動 | 決定に基づいて行動する |
OODAループの特徴:
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| スピードが速い | PDCAより短いサイクルで回せる |
| 不確実性に強い | 変化に応じて柔軟に対応できる |
| 観察重視 | 「計画」より「観察」から始める |
PDCAとOODAの違い:
| 項目 | PDCA | OODA |
|---|---|---|
| 起点 | 計画(Plan) | 観察(Observe) |
| サイクル速度 | 遅い(週次、月次) | 速い(日次、リアルタイム) |
| 適した状況 | 安定した環境 | 変化の激しい環境 |
| 重視すること | 計画通りに進める | 状況に応じて変える |
毎日続けられる超シンプルな振り返りです。忙しい人におすすめ。
4行日記とは:
| 行 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 1行目 | 事実(今日あったこと) | 「新規プロジェクトの企画書を完成させた」 |
| 2行目 | 発見(気づいたこと) | 「締め切りが近いと集中力が上がることに気づいた」 |
| 3行目 | 教訓(学んだこと) | 「大きなタスクは細かく締め切りを設けると良い」 |
| 4行目 | 宣言(明日やること) | 「明日は午前中に報告書の骨子を作る」 |
4行日記の特徴:
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 5分で完了 | 4行だけなので、忙しくても続けられる |
| 毎日の積み重ね | 毎日の小さな振り返りが大きな成長につながる |
| 内省が深まる | 「発見」「教訓」で自分の思考を言語化できる |
シンプルかつ行動変容に直結するフレームワークです。
Start/Stop/Continueとは:
| 要素 | 意味 | 問いかけ |
|---|---|---|
| Start | 始めること | 新しく始めるべきことは何か? |
| Stop | やめること | やめるべきことは何か? |
| Continue | 続けること | 続けるべきことは何か? |
特徴:
具体例:
【Start(始めること)】
- 朝の10分間、今日のタスク整理をする
- 週1回、上司との1on1で進捗報告
【Stop(やめること)】
- ダラダラ残業(19時には退社する)
- SNSをだらだら見る(仕事中は通知オフ)
【Continue(続けること)】
- 朝一番のメール処理
- 週次レポートの提出
| 場面 | おすすめフレームワーク | 理由 |
|---|---|---|
| 日次の振り返り | 4行日記、YWT | シンプルで毎日続けられる |
| 週次の振り返り | KPT、YWT | 課題と学びを整理しやすい |
| プロジェクト終了後 | KPT | 成功点と課題を明確にできる |
| 変化の激しい環境 | OODA | 素早く状況に対応できる |
| 習慣の見直し | Start/Stop/Continue | 行動変容に直結する |
| チームの振り返り | KPT | チームで共有しやすい |
| 目的 | おすすめフレームワーク |
|---|---|
| 自己成長したい | YWT、4行日記 |
| 業務効率を上げたい | KPT、OODA |
| 習慣を変えたい | Start/Stop/Continue |
| 失敗から学びたい | KPT、YWT |
| 素早く改善したい | OODA |
複数のフレームワークを組み合わせることで、より効果的な振り返りができます。
おすすめの組み合わせ:
| パターン | 内容 |
|---|---|
| 日次:4行日記 + 週次:KPT | 毎日の積み重ねを週次で整理 |
| 日次:OODA + 週次:YWT | 素早く行動しながら、週次で学びを整理 |
| 毎月:Start/Stop/Continue | 月に一度、習慣を見直す |
原則①:時間を決める
振り返りを「いつやるか」を決めておくことが重要です。
| タイミング | おすすめの振り返り |
|---|---|
| 毎日退社前5分 | 4行日記、YWT |
| 毎週金曜日の終業前 | KPT、YWT |
| 毎月最終日 | Start/Stop/Continue |
| プロジェクト完了時 | KPT |
原則②:場所を決める
振り返りをする「場所」も決めておくと、習慣化しやすくなります。
原則③:ツールを決める
振り返りを記録する「ツール」を決めておきましょう。
| ツール | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 紙のノート | 自由度が高い、記憶に定着しやすい | 検索しにくい |
| デジタルノート(Notion等) | 検索しやすい、どこでも見返せる | スマホいじりと混同しやすい |
| スプレッドシート | 一覧性が高い、分析しやすい | 手軽さに欠ける |
コツ①:完璧を求めない
毎日完璧な振り返りをしようとすると、続きません。**「書かないより、雑に書く方がマシ」**くらいの気持ちで取り組みましょう。
コツ②:ハードルを下げる
最初は「1行だけ書く」から始めても良いです。ハードルを下げて、まず習慣化することを優先しましょう。
コツ③:効果を実感する
1ヶ月続けたら、振り返りを見返してみましょう。自分の成長を実感できると、続けるモチベーションになります。
| 続かない理由 | 対策 |
|---|---|
| 時間がないと感じる | 5分に短縮、通勤時間を活用 |
| 何を書けばいいかわからない | テンプレートを使う(KPT等) |
| 書いても意味を感じない | 1ヶ月後に見返す習慣をつける |
| 継続できない自分を責める | 完璧を求めない、1行から始める |
「振り返りに時間をかけられない」という方のために、5分で完了する振り返り方法を紹介します。
ステップ1(1分):今日やったことを3つ書く
ステップ2(2分):一番の気づきを1つ書く
ステップ3(1分):明日やることを1つ書く
ステップ4(1分):今日の自分を一言で評価
【日付】〇月〇日(〇)
【今日やったこと(3つ)】
1.
2.
3.
【一番の気づき】
【明日やること(1つ)】
【今日の自分(一言)】
1行振り返り
どうしても時間がない日は、1行だけ書きましょう。
「今日一番の気づきは?」
この1行だけでも、振り返りを続ける効果があります。
チームでの振り返りには、KPTが最も適しています。
チームKPTの進め方:
| ステップ | 内容 | 時間目安 |
|---|---|---|
| 1. 個人ワーク | 各自がKPTを書き出す | 5分 |
| 2. 共有 | 順番に発表する | 10分 |
| 3. 議論 | 共通点や重要な点を議論 | 10分 |
| 4. アクション決定 | Tryを具体的なアクションに落とす | 5分 |
| 注意点 | 対策 |
|---|---|
| 発言しにくい雰囲気 | 最初に個人で書く時間を設ける |
| 批判的になりがち | Keepから始める、人ではなく事象を議論 |
| アクションが曖昧 | 「誰が」「何を」「いつまでに」を明確に |
| 毎回同じ課題が出る | 前回のTryの振り返りから始める |
チーム振り返りを成功させるためには、心理的安全性が不可欠です。
心理的安全性を高める工夫:
A. まずは「KPT」から始めることをおすすめします。
シンプルで汎用性が高く、個人でもチームでも使えます。KPTに慣れたら、目的に応じて他のフレームワークも試してみてください。
A. 理想は「日次」ですが、まずは「週次」から始めましょう。
毎日が難しければ、週に1回からでOKです。大切なのは「続けること」です。
A. 月に1回、振り返りを見返す時間を設けましょう。
月末に30分、過去1ヶ月の振り返りを見返すと、自分の成長や傾向が見えてきます。これが続けるモチベーションになります。
A. 心理的安全性を高める工夫をしましょう。
匿名で書かせる、外部のファシリテーターを入れる、上司は最後に発言する、などの工夫が有効です。
A. 長期プロジェクトはPDCA、短期・日常的な振り返りはKPTが向いています。
PDCAは「計画→実行→検証→改善」の長いサイクルに適しています。一方、KPTは素早い振り返りと改善に適しています。
A. 「Try」を必ず次のアクションに反映させることです。
振り返りで出た「やること」を実際に行動に移し、次の振り返りでその結果を確認する。このサイクルを回すことで、形骸化を防げます。
A. はい、効果があります。むしろ記録が残りやすいメリットがあります。
MiroやFigJamなどのオンラインホワイトボードを使うと、チームでの振り返りも効果的に行えます。
A. 日次のYWTまたは4行日記がおすすめです。
「やったこと」「わかったこと」を毎日言語化することで、学習効率が大幅に上がります。先輩に見てもらうとフィードバックももらえます。
振り返りは成長に欠かせないプロセスです。しかし、正しい方法を知らないと効果が薄れます。PDCAだけにこだわらず、状況に応じたフレームワークを使い分けることで、振り返りの質が向上し、成長スピードが加速します。
| フレームワーク | 特徴 | おすすめの場面 |
|---|---|---|
| KPT | シンプルで汎用性が高い | 日次〜週次、個人・チーム |
| YWT | 学びの言語化に強い | 日次〜週次、自己成長 |
| OODA | 変化に素早く対応 | 変化の激しい環境 |
| 4行日記 | 5分で完了 | 毎日続けたい人 |
| Start/Stop/Continue | 行動変容に直結 | 習慣の見直し |
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