
「第一志望から内定をもらった!」 おめでとうございます。長い就活の努力が報われた瞬間です。
しかし、次に待っているのは**「滑り止めで内定をもらっていた企業への辞退連絡」**という、全就活生が最も胃をキリキリさせる仕事です。
「せっかく評価してくれたのに申し訳ない」 「怒鳴られたらどうしよう」 「コーヒーをかけられるという都市伝説を聞いたことがある…」
不安になる気持ちはわかりますが、結論から言います。 内定辞退は、労働者の権利であり、法的にも全く問題ありません。 「損害賠償請求するぞ」といった脅しは、100%ハッタリです。
ただし、**「伝え方(マナー)」**の良し悪しで、企業の反応は天と地ほど変わります。 適当なメール一本で済ませて人事担当者を激怒させる学生もいれば、誠実な対応で「君のような素晴らしい学生に出会えてよかった、他社でも頑張れ」と背中を押される学生もいます。 将来、その会社が取引先になる可能性もゼロではありません。
この記事では、絶対に揉めない内定辞退のタイミング、電話トークスクリプト、メール例文、そしてしつこい引き留め(オワハラ)への法的対抗策を解説します。
この記事でわかること:
これを読めば、もう人事の番号発信画面を見つめて手が震えることはなくなります。
A. できます。法的拘束力はありません。 内定承諾書は、「入社する意思確認」の書類であり、奴隷契約書ではありません。 民法第627条により、労働契約は**「2週間前の予告」で解除できると定められています。 つまり、極論を言えば「入社式(4月1日)の2週間前」**までなら、法的に何のお咎めもなく辞退可能です。
A. 言われるかもしれませんが、支払う必要はゼロです。 企業が学生に損害賠償を請求するには、「その学生を採用するために使った『特別な』費用」や「辞退によって具体的な損害(プロジェクトが潰れた等)」を証明する必要がありますが、新卒採用でこれらが認められる判例は事実上ありません。 「研修費」や「懇親会の食事代」を請求されることもありますが、これも支払う義務はありません。
法的にOKだからといって、ギリギリまで放置するのは最悪のマナーです。 企業はあなたのためのデスクやPCを用意し、他の学生を不合格にしています。 辞退が決まった瞬間に連絡するのが、お互いのためです。
「辞退は電話ですべき」というのは古いマナーですが、やはり確実なのは電話です。
| 状況 | 推奨手段 | 理由 |
|---|---|---|
| ① 内定承諾「前」 | メールでOK | まだ正式な契約に至っていないため、記録に残るメールの方が確実かつ効率的。 |
| ② 内定承諾「後」 | まずは電話 | 一度「行きます」と約束したものを覆すため、口頭での謝罪が必須。メールだけだと「逃げた」と思われる。 |
| ③ 担当者と仲が良い (リクルーターがついている) |
電話 | 個人的にお世話になった人には、自分の声で伝えるのが人としての筋。 |
【結論】 基本は**「電話」**です。不在なら「メール」を送りましょう。 「怒られるのが怖いからメールだけで済ませたい」という気持ちは捨ててください。電話で1分話せば終わる話が、メールだと返信待ちで数日モヤモヤすることになります。
電話をかける時間は、**「平日の10
〜11」または「14〜16」**がベストです。 始業直後、昼休み、終業間際は避けましょう。学生:「お世話になっております。〇〇大学の山田太郎です。新卒採用の件でお電話いたしました。採用担当の鈴木様はいらっしゃいますでしょうか?」
担当者:「はい、鈴木です」
学生:「鈴木様、先日は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。本日は、今後の進路についてご相談がありお電話いたしました」
担当者:「はい、どうされましたか?」
学生:「大変申し上げにくいのですが、検討の結果、内定を辞退させていただきたく存じます」 (※ここで結論をズバッと言うこと。「相談」と言いつつ「決定事項」として伝えるのがコツです)
担当者:「えっ、そうなんですか。理由は聞かせてもらえますか?」
学生:「はい。自身の適性とキャリアプランを慎重に考えた結果、他社にご縁を感じ、そちらに入社することを決意いたしました」
担当者:「そうですか…。残念ですが、山田さんの人生ですからね。わかりました」
学生:「多大なる評価をいただいたにも関わらず、このような結果となり大変申し訳ございません。これまで親切にしていただき、本当にありがとうございました」
「どこの会社に行くの?」と聞かれることがあります。 正直に答える必要はありません。 「業界は〇〇業界です」程度に留め、「詳細な企業名は伏せさせてください」と毅然と答えましょう。企業名を言うと、「あの会社はブラックだよ」などとネガティブキャンペーン(オワハラ)を受ける可能性があります。
電話をしたけど繋がらなかった場合や、内定承諾前の辞退に使ってください。
株式会社〇〇 採用担当 鈴木様
お世話になっております。 〇〇大学の山田太郎と申します。
先日は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。 このような高い評価をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。
この度は、今後の進路について慎重に検討いたしました結果、 誠に恐縮ながら、内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。
本来であれば直接お伺いしてお詫びすべきところ、 メールでのご連絡となりますこと、何卒ご容赦ください。
末筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。
電話で辞退を伝えると、「一度会社に来て説明してほしい」「ご飯でも食べながら話そう」と言われることがあります。これがいわゆる**「呼び出し」**です。
行くメリットは1ミリもありません。 個室に入れられて大人数で説得されたり、怒鳴られたりするだけです。
どうしても「会社に来い」と言われたら、こう答えてください。 「すでに入社先への手続きを進めており、気持ちが揺らぐことはありません。お会いしても、御社の期待に沿う回答はできず、お時間を無駄にしてしまうだけですので、辞退させていただきます」
これは**「私は今晩カレーライスを食べると決めたので、ラーメン屋には一歩も入りません」**と言うのと同じです。 中途半端に「迷っています」「話だけでも…」という態度を見せるから、相手も「まだひっくり返せる(ラーメン屋に連れ込める)」と思って食い下がるのです。 「意思は固い」「会っても無駄」であることを丁寧に、しかし断固として伝えれば、相手も諦めます。
A. 「親の反対」や「単位不足」などの嘘はやめましょう。 「親を説得してやる」「卒業まで待つ」と返された時に詰みます。 一番いいのは「他社とのマッチングの方が高かった」という不可侵の理由です。これは主観の問題なので、相手も否定しようがありません。
A. 絶対にやめてください。 大学のキャリアセンターにクレームが入り、来年以降の後輩の採用に影響が出る可能性があります。 メール一通でもいいので、必ず連絡を入れてください。
A. 個別にお礼のLINEやメールを送りましょう。 採用担当への連絡とは別に、「〇〇先輩のおかげで就活を頑張れました。違う道に進みますが、教えていただいたことは忘れません」と送れば、関係は壊れません。
A. 企業ではなく「エージェント」に連絡します。 あなたはエージェントの顧客なので、企業への気まずい連絡を代行してもらう権利があります。「〇〇社を辞退します」とエージェントに伝えれば、あとは彼らが処理してくれます。これがエージェント利用の最大のメリットです。
内定辞退は、あなたが「選ばれる側」から「選ぶ側」になった証拠です。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 法的期限 | 入社2週間前までOKだが、決まったら即日連絡がマナー。 |
| 手段 | 承諾後は電話が基本。不在ならメール。サイレントは絶対NG。 |
| 理由 | 「他社への入社を決めた」。これ一本槍でOK。企業名は言わない。 |
| トラブル | 呼び出しには絶対に行かない。「意志は固い」と伝える。 |
「断ること」は、社会人にとって重要なスキルです。 相手への敬意を持ちつつ、自分の決断を曲げない強さを持つこと。 この内定辞退という経験もまた、あなたをビジネスパーソンとして成長させる一つのステップです。
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