
「小さい頃からテレビっ子だった」 「マンガの編集者になってヒット作を作りたい」 「新聞記者として社会の不正を暴きたい」
マスコミ業界は、いつの時代も学生の憧れの的です。 日本テレビ、TBS、講談社、集英社、朝日新聞…。 名前を聞くだけで知的で華やかなイメージがあり、平均年収は1300万〜1500万円という日本最高峰の待遇を誇ります。
しかし、「若者のテレビ離れ」や「活字離れ」は深刻です。 広告収入(スポンサー料)は年々減少し、新聞の発行部数は全盛期の半分以下まで落ち込みました。 「マスコミはもうオワコン(終わったコンテンツ)だ」という声も聞かれます。
それでも、大手マスコミ各社は潰れるどころか、最高益を更新している会社さえあります。 なぜでしょうか? それは、彼らが**「情報を伝えるだけの会社」から、「コンテンツと不動産で稼ぐ会社」へと変貌している**からです。
この記事では、テレビ・新聞・出版の3大マスコミの現状と、デジタル時代における新たな収益モデル、そして狭き門を突破するための対策を解説します。
この記事でわかること:
これを読めば、「オワコン」という言葉に惑わされず、マスコミ業界のしたたかな生存戦略が見えてくるはずです。
広告費の流れが変わりました。2019年、日本のインターネット広告費がテレビ広告費を抜きました。 これは歴史的な転換点です。
| 媒体 | 現状 | 課題 | 今後の戦略 |
|---|---|---|---|
| テレビ | 視聴率低下で広告収入減。 TVerなどの見逃し配信は好調。 |
若者が見ない。 制作費の削減。 |
不動産・イベント・配信など、放送枠以外で稼ぐ。 |
| 出版 | 雑誌・書籍は売れない。 電子コミックは爆発的成長。 |
書店・取次の減少。 紙のコスト高。 |
版権(IP)ビジネス。 アニメ化・映画化・海外展開。 |
| 新聞 | 発行部数が激減。 夕刊廃止の流れも。 |
最もデジタル化が遅れている。 販売店の維持が限界。 |
デジタル版サブスクへの移行。 不動産事業。 |
「紙や電波で情報を届ける」というビジネスモデルは崩壊しました。 これからは、**「強力なコンテンツ(IP)を作り、それをネットやイベントで多角的に売る」**ビジネスへの転換が必要です。
テレビ局の売上の半分近くは、実はテレビCM以外(放送外収入)から来ていることをご存知でしょうか?
※東京にある5つの主要テレビ局のこと。地方局(ローカル局)とは待遇も規模も全く違います。
| 局名 | 特徴 | 放送外収入・強み |
|---|---|---|
| 日本テレビ | 視聴率三冠王の常連。バラエティ・ドラマが強い。 | **Hulu(配信)**やティップネス(ジム)など多角化が進んでいる。 |
| TBS | ドラマのTBS。「半沢直樹」など強力なIPを持つ。 | 「赤坂サカス」の不動産がドル箱。舞台「ハリー・ポッター」などイベントも強い。 |
| フジテレビ | かつての王者。現在は視聴率で苦戦中。 | 観光事業(ビルやイベント)が得意。「お台場」の開発主。 |
| テレビ朝日 | AbemaTV(サイバーエージェントと共同)でネット配信の先駆者。 | 若者向けコンテンツ「ABEMA」への投資と、六本木ヒルズ関連事業。 |
| テレビ東京 | 独自路線(アニメ、経済)。制作費が安く利益率は高い。 | **アニメ(ポケモン、ナルト等)**の版権収入が莫大。海外売上比率が高い。 |
キー局は多角化で生き残れますが、地方局は「キー局の番組を流すだけ」になりがちで、人口減少とともに経営が厳しくなっていきます。就活では「キー局・準キー局(大阪)」と「地方局」を明確に分けて考えましょう。
出版業界は、「斜陽産業」から「成長産業」へと奇跡の復活を遂げつつあります。 その立役者は、**3大出版社(講談社、集英社、小学館)が持つ「マンガ」**です。
マンガ作品(IP)の権利を管理し、アニメ化、映画化、ゲーム化、グッズ化などで他社から使用料(ロイヤリティ)をもらうビジネスです。 例えば『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』(集英社)の大ヒットにより、紙の雑誌(ジャンプ)が売れなくても、莫大な利益が入ってきます。
小説やビジネス書の市場は縮小傾向です。「紙の本を作りたい」という純粋な想いは大切ですが、会社としては「デジタルでどう売るか」「IPとしてどう育てるか」を求めています。
新聞業界は最も厳しい状況にありますが、勝ち筋は見えています。 それは**「デジタル版の有料会員(サブスク)」**です。
日経新聞は、いち早く「日経電子版」を軌道に乗せ、デジタル有料会員数は世界有数の規模(約100万人)を誇ります。 経済情報という「お金を出してでも読む価値がある」コンテンツを持っている強みです。 Financial Timesを買収するなど、グローバルテック企業の様相を呈しています。
新聞記者を目指すなら、「紙面」ではなく「Web記事」でどう読ませるか、PVを稼ぐかという視点が必須です。
A. キー局・大手出版社は、事実上「あります」。 早慶・旧帝大・上位国公立で内定者の大半を占めます。これは学歴で切っているというより、筆記試験(SPIや一般常識)のボーダーが高すぎることと、エントリー数が数万人に及ぶためです。 しかし、地方局や専門出版社、制作会社(プロダクション)なら学歴は関係ありません。
A. 狭き門ですが、可能です。 ただし、テレビ局の社員は「制作現場」から離れつつあります。実際の番組作りは「制作会社」に外注し、テレビ局員はプロデューサーとして予算管理やキャスティングを行うのが主流です。 「自分でカメラを回したい」「編集したい」なら、制作会社の方が向いています。
A. 絶対に参加してください。 マスコミ、特にテレビ局の採用は「インターン経由」が非常に多いです。インターンで優秀と認められた学生だけに「早期選考」の案内が来ます。本選考からの内定は宝くじレベルです。
A. 部署によりますが、基本激務です。 報道や制作現場になれば、昼夜逆転、不規則な生活は当たり前です。事件が起きれば休日でも呼び出されます。「9時17時で働きたい」人には絶対におすすめしません。 その代わり、給料は破格です。
A. 「時事問題」と「クリエイティブ問題」です。 一般的なSPIに加え、最新のニュース(政治経済からエンタメまで)が出ます。また、「〇〇というお題で企画を考えろ」といった発想力を問う記述試験が特徴的です。日頃からネタ帳を作る習慣をつけましょう。
マスコミ業界は、時代の変化に合わせて「形を変えて」生き残ります。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| テレビ | 放送枠よりも、Huluなどの配信や不動産事業が収益の柱に。 |
| 出版 | 紙は苦戦だが、**マンガIP(版権)**で過去最高益。世界市場へ。 |
| 新聞 | 日経電子版の一人勝ち。有料デジタルへの移行が急務。 |
| 就活 | 超難関。インターン参加が必須。クリエイティブよりビジネス視点を。 |
「面白いものを作りたい」。 その情熱は尊いですが、それを「どうやってお金に変えるか」まで考えられる人が、これからのマスコミ業界を担うリーダーです。 斜陽産業ではなく、変革産業の旗手として挑戦してください。
SHARE THIS ARTICLE