
「大手に行きなさい」 「安定した会社がいい」 「その会社、聞いたことない」 「営業はやめときなさい」 「なんでそこなの?」
就活中、親からのこんな言葉に悩んでいる人は多い。
実際、就活に関する親とのトラブルは珍しくない。親世代と子世代では、就活に対する認識が大きく異なるからだ。
本記事では、親が就活に口を出す心理を理解した上で、具体的な対処法を徹底解説する。親との関係を悪化させず、自分の人生を自分で決めるためのガイドだ。
約2万文字と長いが、親との就活トラブルに悩むすべての人に読んでほしい。
まず、「なぜ親は口を出すのか」を理解することから始めよう。敵を知り己を知れば百戦危うからず、だ。
最も根本的な心理。親は「子どもに苦労してほしくない」「安定した生活を送ってほしい」と願っている。その願いが、「大手に行け」「安定した会社がいい」という言葉になって表れる。
特徴:
親は、自分の就活・キャリア経験をベースにアドバイスする。しかし、20〜30年前の就活と今の就活は全く異なる。
親世代(バブル〜就職氷河期)の常識:
現在の常識:
この認識のズレが、多くのトラブルの原因になる。
残念ながら、「子どもの就職先=親のステータス」と考える親もいる。
特徴:
子どもが自立していくことへの不安から、「まだコントロールしたい」という心理が働くことがある。
特徴:
親は就活の最新情報を持っていない。知らないものへの不安が、「反対」という形で表れることがある。
特徴:
親の心理:
対処法:
ステップ1:なぜ大手が良いと思うのか聞く
「お母さん(お父さん)が大手を勧める理由を教えてくれない?」
親の本音を引き出すことで、対話の糸口が見つかる。
ステップ2:データで説明する
| 項目 | 大手企業 | 中小・ベンチャー |
|---|---|---|
| 安定性 | 高いが、リストラもある | 変動あり、成長可能性も |
| 給与 | 初任給は高め | 成果次第で上がりやすい |
| 成長スピード | ゆっくり | 早い |
| 裁量権 | 少なめ | 大きい |
ステップ3:自分の選択理由を論理的に説明する
「私は〇〇という軸で会社を選んでいて、△△社はその軸に合っている。大手の□□社も検討したけど、●●という理由で△△社の方が自分に合っていると判断した」
親の心理:
対処法:
ステップ1:会社の情報を提供する
会社のパンフレット、IR資料、ニュース記事などを見せる。「こういう会社だよ」と具体的に説明する。
ステップ2:業界内での位置づけを説明する
「〇〇業界では知名度が高くて、△△という分野でシェア1位なんだよ」
ステップ3:「BtoB」を説明する
「消費者向けじゃなくて企業向けのビジネスだから、一般の人が知らないのは当然なんだ。でも業界では有名で、安定している会社だよ」
親の心理:
対処法:
ステップ1:営業の多様性を説明する
「営業にもいろいろあって、私が志望しているのは〇〇営業。飛び込み営業とは違って、△△するスタイルなんだ」
ステップ2:なぜ営業を選ぶのか説明する
「私は人と話すのが好きで、〇〇という経験から、営業で△△を実現したいと思っている」
ステップ3:データで反論する
営業職の平均年収、キャリアパス、営業出身の経営者の例などを提示する。
親の心理:
対処法:
ステップ1:IT業界の安定性を説明する
「今やどの業界もITなしでは成り立たない。IT業界は今後も成長が見込まれている業界だよ」
ステップ2:具体的な会社情報を提供する
「この会社は上場していて、離職率は〇%、平均勤続年数は△年。ちゃんとした会社だよ」
ステップ3:一緒に調べてもらう
「心配なら、一緒に会社のサイトを見てみない?」
親の心理:
対処法:
ステップ1:感情を受け止める
「寂しいよね。私も離れるのは寂しい」
ステップ2:帰省の計画を伝える
「年に〇回は帰ってくるし、連絡もこまめにするよ」
ステップ3:なぜ地元以外を選ぶのか説明する
「私は〇〇業界で働きたくて、その業界は△△に集中しているんだ。将来的には戻ってくることも考えているよ」
原則1:感情的にならない
親が何を言っても、感情的に反応しない。冷静さを失うと、建設的な対話ができなくなる。
原則2:まず聴く
「なぜそう思うのか」を聴く。親の話を遮らず、最後まで聴く。聴いてもらえたと感じれば、親も聴く姿勢になる。
原則3:感謝を伝える
「心配してくれてありがとう」と伝える。親の意見に賛同するかどうかは別として、心配してくれていること自体には感謝できる。
原則4:論理と感情の両方で説得する
論理(データ、根拠)だけでもダメ、感情(想い)だけでもダメ。両方を使い分ける。
シーン:親が「大手に行け」と言ってきた場合
あなた:
「お父さん(お母さん)が大手を勧めてくれるのは、私の将来を心配してくれているからだよね。ありがとう。」
親:
「そうだよ。あなたに苦労してほしくないんだ。」
あなた:
「分かってるよ。だから、私もちゃんと考えて選んでいるんだ。」 「私が△△社を選ぶ理由を聞いてくれない?」
(ここで、自分の就活軸、企業選びの理由を論理的に説明する)
あなた:
「もちろん、最終的に決めるのは私。でも、お父さん(お母さん)に認めてもらえたら嬉しい。だから、こうやって話をしているんだ。」
完全に親を排除するのではなく、適度に巻き込むことで、味方にすることもできる。
方法1:進捗報告をする
「今日は〇〇社の面接だった。△△という質問が難しかったな」
報告することで、親は「自分も参加している」と感じ、反対しにくくなる。
方法2:相談形式にする(決定事項ではなく)
「〇〇社と△△社で迷っているんだけど、どう思う?」
すでに決めた後に報告すると反発されやすい。「相談」という形にすれば、親も意見を言いやすく、納得感が高まる。
方法3:会社説明会のパンフレットを見せる
具体的な資料があると、親も理解しやすくなる。
残念ながら、どれだけ対話しても分かり合えないケースはある。
こんな場合は「完全な合意」は難しい:
完全な理解を求めるのは諦め、**「尊重」**を求める方向にシフトする。
伝え方:
「お父さん(お母さん)の考えは分かった。でも、これは私の人生だから、最終的には私が決めたい。賛成してくれなくてもいいから、尊重してほしい。」
あまりにもストレスが大きい場合は、物理的・心理的に距離を取ることも選択肢だ。
具体的な方法:
ただし、これは最終手段。できる限り対話で解決することを試みよう。
状況: 親は大手商社への就職を希望。本人は成長中のITベンチャーに内定。
親の反応: 「なんで大手を蹴るの?ベンチャーなんて危ない。」
対処法:
結果: 入社2年で事業責任者に。親も「あのとき反対しなくて良かった」と認めてくれた。
状況: 親は地元就職を希望。本人は東京のコンサル会社に内定。
親の反応: 「なんで地元で働かないの?寂しいじゃない。」
対処法:
結果: 年に4回帰省、毎週ビデオ通話。親も東京に遊びに来るようになり、関係は良好。
状況: 親は事務職を希望。本人は不動産営業に内定。
親の反応: 「営業なんてノルマがきつくて続かない。」
対処法:
結果: 入社1年で新人賞受賞。親も「営業向いてたんだね」と納得。
「心配してくれてありがとう」 「いつも応援してくれて嬉しい」 「親として言いたくなる気持ち、分かるよ」
「私は〇〇という理由で△△を選びたい」 「自分で決めたことだから、責任は自分で取る」 「失敗しても、それは私の経験になる」
「今は就活に集中したいから、しばらくこの話題はやめよう」 「最終的には私が決めることだから、見守っていてほしい」 「報告は内定が出てからにするね」
「お父さん(お母さん)の意見も聞いた上で、私なりに考えてみるね」 「複数の選択肢を見てから最終決定するよ」 「〇〇社も一応受けてみるね。でも最終的には自分で判断させて」
就活は、親から経済的・精神的に独立していく第一歩だ。この過程で親子関係に摩擦が生じるのは、ある意味自然なこと。
親もまた、「子離れ」という課題に向き合っている。口を出してくるのは、まだ子離れできていない証拠でもある。
就活は人生の通過点。親子関係は一生続く。今の摩擦で関係を壊すのはもったいない。
心がけ:
対処法1:第三者に話す
キャリアセンター、友人、先輩など、親以外の人に話を聞いてもらう。
対処法2:文章に書き出す
感情を紙に書き出すだけでも、気持ちが整理される。
対処法3:物理的に距離を取る
図書館、カフェなど、家以外の場所で就活をする時間を増やす。
対処法4:専門家に相談する
カウンセラー、相談窓口などを活用する。
以下のような場合は、一人で抱え込まず、専門家に相談しよう。
相談先:
親を説得するとき、「なぜ親世代の常識が今は通用しないのか」を理解しておくと役立つ。
| 項目 | 親世代(1990年代〜2000年代) | 現在(2020年代〜) |
|---|---|---|
| 就活開始時期 | 大学4年4月〜 | 大学3年6月〜(インターン) |
| 内定時期 | 4年10月頃 | 3年12月〜4年6月 |
| エントリー数 | 数社〜十数社 | 30〜50社 |
| 選考方法 | 対面のみ | オンライン併用 |
| 項目 | 親世代 | 現在 |
|---|---|---|
| 終身雇用 | 当たり前 | 崩壊しつつある |
| 転職 | ネガティブ | 普通のこと |
| 年功序列 | 当たり前 | 成果主義へ移行 |
| 副業 | 禁止が主流 | 解禁の流れ |
| 項目 | 親世代 | 現在 |
|---|---|---|
| 重視されるもの | 学歴、協調性 | スキル、主体性 |
| 働き方 | 会社の指示に従う | 自分でキャリアを作る |
| キャリア観 | 一社で定年まで | 複数社を渡り歩く |
親が口を出す心理を理解する
パターン別対処法を実践する
対話の基本原則を守る
完全な合意が無理なら「尊重」を求める
長期的な視点で親子関係を考える
□ 親が口を出す「本当の理由」を考えてみる
□ 自分の就活軸・志望理由を文章にまとめる
□ 親に説明するためのデータを準備する
□ 感謝を伝える一言を用意する
□ 対話の練習をする(友人相手など)
親との就活トラブルは、誰もが通る道だ。
親は親なりに、あなたを心配している。その気持ちは受け止めつつ、自分の人生は自分で決めるという姿勢を貫こう。
就活を通じて、親子関係もまた、大人同士の対等な関係へと変わっていく。
あなたの就活が、自分らしいキャリアへの第一歩になることを願っている。
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