
「せっかく内定をくれたのに申し訳ない」 「期待してくれていた人事の人を裏切ることになる」
真面目な学生ほど、内定辞退に強い罪悪感を抱きがちです。 中には、罪悪感に押しつぶされて、第一志望ではない企業に入社してしまう人さえいます。 しかし、それはお互いにとって不幸な選択です。
企業にとっても、熱意のないまま入社され、すぐに辞められるのが一番の損失です。 入社前に「辞めます」と言ってくれるのは、むしろ親切な行為です。
また、「内定辞退でコーヒーをかけられた」「カレーを食わされて説教された」といった昭和の都市伝説がネット上に溢れていますが、 コンプライアンスが厳しい現代において、そんなことをする企業は(ほぼ)絶滅しています。
この記事では、過度な恐怖心を取り除き、「円満」かつ「事務的」に内定辞退を完了させるための具体的な手順を解説します。 これは最後の「仕事」だと思って、淡々と進めていきましょう。
内定式の後に書かされる「内定承諾書(入社誓約書)」。 「正当な理由なく入社を辞退しません」「辞退した場合は損害賠償を請求されても異議を唱えません」 こんな怖い文言が書かれていることがあります。これにサインしてしまったら、もう逃げられないのでしょうか?
結論:法的拘束力はありません。サインした後でも辞退できます。
日本国憲法には「職業選択の自由」が保障されており、これが企業の規定よりも優先されます。 過去の判例でも、学生の内定辞退に対する損害賠償請求が認められたケースは極めて稀です(企業の評判を下げるリスクの方が大きいため、企業も訴訟なんて起こしません)。
「損害賠償」云々は、あくまで学生を心理的に縛るための「脅し文句」に過ぎません。 法的には、あなたは守られているのです。
では、いつまでなら辞退しても良いのでしょうか? 民法627条では、**「申し入れから2週間で雇用契約は解除できる」**と定められています。 つまり、法的には「入社日の2週間前(3月中旬)」までに伝えればセーフです。
しかし、これはあくまで「法的なギリギリ」の話です。 これを超えると、企業側はあなたのためのPCや備品を購入し、配属先を決定し、研修の準備を完了しています。 この段階でのキャンセルは、さすがに企業に実害が出ます。
マナーとしてのデッドラインは「内定式(10月1日)の前」、 遅くとも**「年内」**には伝えるのが、人としての誠意です。 早ければ早いほど、企業側も「追加募集(秋採用・冬採用)」で穴埋めができるため、お互いに傷が浅くて済みます。
「メールで辞退してもいいですか?」 これはYahoo!知恵袋で最も多い質問の一つです。
誠意を見せるなら、やはり電話がベストです。 メールだと「一方的」「冷たい」と受け取られ、人事担当者の感情を逆なでするリスクがあります。 特に、最終面接まで手厚くサポートしてくれたリクルーターがいる場合は、電話で直接お礼と謝罪を伝えるのが礼儀です。
電話をかけるのは勇気が要ります。台本を用意しましょう。
あなた:「お世話になっております。〇〇大学の[あなたの氏名]です。人事の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか?」 人事:「はい、私です」 あなた:「先日は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。大変悩みましたが、検討の結果、今回の内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。」 人事:「あ、そうですか…残念です。理由は?」 あなた:「自分の適性や将来のキャリアを改めて考え、他社様にご縁を感じたため、そちらに入社することを決意いたしました。」 人事:「わかりました。頑張ってくださいね」 あなた:「最後まで親身にしていただいたのに、このような結果になり申し訳ありません。本当にありがとうございました。失礼いたします」
人事:「一度会社に来て話そうよ。君の誤解があるかもしれない」 あなた:「お話はありがたいのですが、私の意思は固まっており、これ以上お時間をいただくのは御社にご迷惑をおかけしてしまいますので、辞退の意思はお変わりません。」 (※「意思は固まっている」を壊れたレコードのように繰り返すのがコツです)
人事:「この時期に辞退とかありえないよ!損害賠償ものだよ!」 あなた:「ご迷惑をおかけして大変申し訳ありません。ただ、法的な確認もした上での判断ですので、辞退させていただきます。書面での手続きが必要でしたらお送りします。」 (※淡々と事務的に返します。「怖い」と思って謝り続けるとつけ込まれます)
どうしても電話が怖い、あるいは電話しても不在だった場合は、以下のメールを送りましょう。
件名:【内定辞退のご連絡】〇〇大学 氏名
〇〇株式会社
人事部 採用担当 〇〇様
お世話になっております。
内定をいただきました、〇〇大学の[あなたの氏名]です。
先ほどお電話いたしましたが、ご不在でしたのでメールにて失礼いたします。
この度は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
採用通知をいただきながら大変恐縮なのですが、
自身の適性やキャリアについて改めて検討した結果、
今回の内定を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。
〇〇様をはじめ、リクルーターの皆様には大変親身にご対応いただいたにも関わらず、
このようなご返事となりますこと、心よりお詫び申し上げます。
本来であれば直接お伺いしてお詫びすべきところではございますが、
メールでのご連絡となりますこと、重ねてお詫び申し上げます。
末筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。
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〇〇大学 〇〇学部 〇〇学科 4年
[あなたの氏名]
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電話で辞退を伝えると、「まあ一度ご飯でも食べながら話そうよ」と呼び出されることがあります(通称:オワハラ)。
結論:行く必要はありません。
行っても、あなたの意思が変わることはありませんし、相手もそれはわかっています。 それでも呼ぶのは、「説得できるかもしれない(ノルマ達成のため)」か「一言文句を言いたい」かのどちらかです。 どちらにせよ、あなたにとってメリットはありません。
「食事をごちそうになるのは申し訳ないので」「意思は固まっていますので」と、電話口で完結させましょう。 カレーやコーヒーが出てくるのは、「最後に何か奢って、恩を売って引き止める(返報性の原理)」という心理テクニックです。
辞退理由を聞かれた時、正直に「御社の給料が安いからです」と言う必要はありません。 **「他社とのご縁」**という魔法の言葉を使いましょう。
もし具体的な企業名を聞かれても、「申し上げられません」と答えてOKです。 しつこく聞かれたら、「業界大手の企業です」くらいにぼかしておきましょう。
一番ダメなのは、「連絡するのが怖いから」と、着信拒否をして音信不通になることです。 これをやると、本当にトラブルになります。
1本の電話、1通のメールで終わる話です。バックレだけはやめましょう。
「食品メーカーの内定を辞退したら、その商品を食べづらい」 「銀行を辞退したら、口座を解約しないといけない?」
心配無用です。 企業にとって、あなたは「採用候補者」から「一般のお客様(消費者)」に戻っただけです。 むしろ企業側は、「不合格にした学生や辞退した学生が、将来の顧客になり得る」ことを知っているので、無下に扱うことは損だとわかっています。 堂々とその会社の商品を使い続けてください。
A. 大丈夫です。むしろ「民間企業の併願」より納得されやすい理由です。「第一志望の公務員に合格しました」と言えば、「それなら仕方ない」とすんなり引いてくれます。
A. 始業直後(9時〜10時)や昼休み(12時〜13時)は避けましょう。相手が比較的落ち着いている「10
〜11」か「14〜16」がベストです。A. 大丈夫です。前述の通り、法的拘束力はありません。ただ、書類上の手続き(返却など)が発生する場合があるので、早めに連絡しましょう。
A. 承諾されたと見なしてOKです。心配なら一週間後くらいに確認の電話を入れてもいいですが、基本的には「返信がない=事務的に処理された」と考えて問題ありません。
A. 絶対にNGです。「自立していない甘えた学生」というレッテルを貼られ、大学の評判も下がります。必ず自分で連絡しましょう。
...(Q6〜Q20は更に具体的なマナーへの回答)
内定辞退は、気まずいものです。 しかし、長い社会人人生において、「断る」「謝る」という場面は山ほど出てきます。 内定辞退は、その最初の練習台です。
相手に誠意を見せつつ、自分の権利は主張する。 感情的にならず、淡々と事務処理を進める。 これができれば、あなたはもう立派な社会人です。
勇気を出して連絡を入れれば、数分後には肩の荷が下りて、晴れやかな気持ちで次のステップに進めるはずです。 あなたの決断を応援しています。
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