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業界研究

【2026年卒】インフラ業界(鉄道・航空・電力・ガス)は安定?自由化と脱炭素で激変する生存戦略

2026年1月17日
更新: 2026年1月19日
Cheese Editorial Team
8分で読めます
【2026年卒】インフラ業界(鉄道・航空・電力・ガス)は安定?自由化と脱炭素で激変する生存戦略

はじめに

就活生のみなさん、**「インフラ業界=安定」**という方程式は、今すぐ頭から消去してください。

かつて、鉄道・電力・ガス・航空は、国に守られた独占企業であり、入社すれば定年まで安泰と言われていました。 しかし、その常識は完全に崩れ去りました。

  • 鉄道・航空:コロナ禍で移動が消滅し、巨額の赤字を垂れ流したことは記憶に新しいでしょう。「人が動かないと稼げない」ビジネスモデルの脆さが露呈しました。
  • 電力・ガス:ライバルがいなかった地域独占が崩れ(自由化)、ソフトバンクや楽天などのIT企業と価格競争をする時代になりました。さらに「脱炭素(カーボンニュートラル)」への対応という、数兆円規模の投資負担ものしかかります。

今、インフラ企業各社は、本業(電車を走らせる、電気を送る)の収益低下を補うため、必死で**「新規事業」**を開拓しています。 不動産、金融、海外事業、デジタルサービス…。

これからのインフラ業界に必要なのは、「決められたことを守る」真面目な公務員タイプではありません。 **「圧倒的な顧客基盤(インフラ)を使って、新しい商売を発明する」**起業家タイプの野心家です。

この記事では、鉄道(JR)、航空(ANA/JAL)、エネルギー(電力・ガス)の3大インフラ業界の現状と、各社が描く「脱・専業」の未来図を解説します。

この記事でわかること:

  • JR東日本・JR東海・JR西日本の「稼ぎ方」の決定的な違い
  • ANAとJAL、「LCC」や「マイル圏」などの非航空ビジネス対決
  • 電力・ガス自由化で何が起きたか?(東京電力・東京ガス)
  • 文系総合職のキャリアパスと、採用で見られる「使命感」の正体

これを読めば、「安定しているから」という志望動機がいかに危険か理解でき、面接官が真に求める「挑戦心」をアピールできるようになります。


目次

  1. 鉄道業界:JR各社の比較と「非鉄道」戦略
  2. 航空業界:ANA vs JAL、復活と多角化
  3. エネルギー業界:電力・ガスの自由化と脱炭素
  4. インフラ業界共通の「求める人物像」の変化
  5. よくある質問(FAQ)
  6. まとめ

1. 鉄道業界:JR各社の比較と「非鉄道」戦略

JR各社は、実は全く別の会社だと思った方がいいくらい戦略が違います。

JR本州3社の比較

会社名 収益の柱 非鉄道戦略 就活のポイント
JR東日本 首都圏の通勤路線。
Suica。
**「生活サービス企業」**へ。
駅ナカ、不動産、Suica経済圏、JRE BANK(金融)に注力。
鉄道事業より、駅ビル開発やIT・金融事業に関心がある人材を求めている。
JR東海 東海道新幹線(売上の約7割)。
世界一のドル箱路線。
リニア中央新幹線の開通。
新幹線一本足打法からの脱却を模索中。
新幹線という日本の大動脈を守る「使命感」と、リニアという「未来への投資」。
JR西日本 京阪神エリア+北陸新幹線。
観光・ホテル。
不動産・ホテル開発
大阪駅周辺(うめきた)の大規模再開発。
西日本エリアの地域活性化と、観光インバウンド需要の取り込み。

新時代のキーワード「MaaS」

Mobility as a Service。電車、バス、タクシー、シェアサイクルをスマホ一つで予約・決済できるようにし、鉄道以外の移動手段も巻き込んで「移動総量」を増やす戦略です。


2. 航空業界:ANA vs JAL、復活と多角化

コロナ禍で瀕死の重傷を負った航空業界ですが、V字回復を果たしています。

ANAホールディングス

  • 特徴:国内線・国際線ともに最大手。積極的な拡大路線。
  • 戦略「航空一本足」からの脱却。アバターロボット事業や、「ANA経済圏(ANA Pay)」などのプラットフォームビジネスを強化。LCC(Peach)も活用し、全方位で旅客を取る。

日本航空(JAL)

  • 特徴:経営破綻からの再生経験があり、利益率重視の堅実経営(アメーバ経営)。
  • 戦略:LCC(ZIPAIR)による中長距離国際線への参入。ドローン物流や「空飛ぶクルマ」への先行投資。

職種の違い

  • 総合職(事務・技術):経営企画、マーケティング、ダイヤ作成などを行う幹部候補。
  • パイロット・CA・整備士:それぞれの専門職。総合職とは採用枠が別です。
  • グランドスタッフ:地上職。グループ会社(ANAエアポートサービスなど)採用が一般的。

3. エネルギー業界:電力・ガスの自由化と脱炭素

「電力を売る」「ガスを売る」だけの単純な商売は終わりました。

自由化による競争激化

2016年の電力自由化、2017年のガス自由化により、消費者が会社を選べるようになりました。 これに対し、既存の大手電力・ガス会社は**「セット販売(電気+ガス+ネット)」や、「ポイントサービス」**で顧客をつなぎ止めています。

脱炭素(GX:グリーントランスフォーメーション)

最大の課題です。火力発電(CO2が出る)を減らし、再生可能エネルギー(洋上風力発電など)へ移行する必要があります。

  • 東京電力HD:福島第一原発の廃炉という重責を負いつつ、再エネ子会社(JERA)で世界と戦う。
  • 関西電力:原発稼働率が高く、利益が出やすい構造。海外発電事業にも積極的。
  • 東京ガス:LNG(液化天然ガス)の調達力が世界トップクラス。水素エネルギーや海外不動産開発にも進出。

4. インフラ業界共通の「求める人物像」の変化

全業界に共通するのは、**「守りながら攻める」**バランス感覚です。

① インフラを守る「使命感」と「規律」

電車を遅らせない、停電させない。これは絶対条件です。 ミスが許されない現場(現業職)と連携するため、ルールを守る真面目さと、誠実なコミュニケーション能力は必須です。

② 新しい稼ぎ方を作る「変革心」

人口減少で利用者が減る中、「値上げ」だけではジリ貧です。 「駅のスペースで完全養殖の魚を育てる(JR西日本)」「電柱を使って見守りサービスをする(東電)」など、既存のアセットを使った突拍子もないアイデアを実現する力が求められています。


5. よくある質問(FAQ)

Q1. 学歴フィルターはありますか?

A. 総合職は正直、かなりキツイです。 JR、ANA/JAL、電力・ガスの「事務系総合職」は、採用数が数十名と少なく、旧帝大・早慶レベルの学生が殺到します。 しかし、現業職(プロフェッショナル職)やグループ会社なら、学歴よりも適性や熱意が重視されます。

Q2. 転勤や夜勤はありますか?

A. あります。 総合職でも、初期配属は現場(駅、空港、発電所)のケースが多く、その期間はシフト制(夜勤あり)です。その後も、全国の支社や海外への転勤が伴います。東京でずっと働きたいなら、エリア限定職を選ぶべきです。

Q3. インフラ各社は公務員に近いですか?

A. 全く違います。 かつての公社・国営時代の名残で「お役所仕事」的な部分は残っていますが、今は完全な民間企業として**「利益」**を厳しく追求しています。競争環境は一般企業と同じか、それ以上に激しいです。

Q4. 英語力は必要ですか?

A. 航空・エネルギーは必須です。 航空は言わずもがな。エネルギー(電力・ガス)も燃料(LNGなど)を海外から輸入しているため、調達部門や海外事業部では高い英語力が求められます。鉄道もインバウンド対応や海外輸出(新幹線システム)があるので、できないよりできた方が圧倒的に有利です。

Q5. 災害時の対応はどうなりますか?

A. 休んでいる場合ではありません。 地震や台風でインフラが止まった時、社員は休日でも夜中でも駆けつけて復旧作業を行います(または指揮所に入ります)。「自分たちが日本を動かしている」という誇りが試される瞬間です。


6. まとめ

インフラ業界は、日本という国の「生存」を支える仕事です。

この記事の要点

業界 課題 今後の戦略
鉄道(JR) 定期収入減。 不動産・流通・金融へシフト。MaaS推進。
航空 パンデミックリスク。 LCCと貨物、マイル経済圏で稼ぐ。
電力・ガス 自由化・脱炭素。 再エネ投資と海外事業。デジタルサービス。
共通 「安定」は死語 インフラを守りつつ、新しいビジネスを作れる人材。

今日からのアクションプラン

  1. 今日:自分が使っている鉄道会社の「中期経営計画」を検索する。「鉄道事業」以外の売上目標がどのくらい高いか確認して驚く。
  2. 明日:駅や空港に行き、そこで働いている人(駅員、GS)ではなく、そこにある「広告」や「店舗」を見る。「この場所代(不動産収入)で稼いでいるんだ」と視点を変える。
  3. 今週中:電力・ガスの「自由化プラン」を比較サイトで見てみる。各社がどんな特典(ポイント、セット割)で客を奪い合っているか、マーケティングの実態を知る。

「当たり前の日常」を維持することが、どれほど難しく、また尊いことか。 そして、その当たり前を守るために、裏側でどれほどのイノベーションが起きているか。 その熱狂の中に飛び込む覚悟ができたら、エントリーボタンを押してください。


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