
「10年後、あなたはどうなっていたいですか?」
面接でよく聞かれるこの質問。あなたは自信を持って即答できますか? 「なんとなく、幸せになっていたい」 「今より給料が上がっていたらいいな」 「…正直、来年のこともわからないのに、10年後のことなんて想像できないよ」
もしあなたが最後に頷いたなら、少し危険信号かもしれません。 かつてのように、会社という大きな船に乗っていれば、自動的に目的地(定年退職、退職金、年金生活)まで連れて行ってくれる時代は終わりました。 今は、一人ひとりが自分の小船を持ち、羅針盤(キャリアプラン)を持って漕ぎ出さなければならない「大航海時代」です。
羅針盤なしで海に出れば、嵐に巻き込まれたり、意図しない方向に流されたりして、気づいた時には「ここはどこ? 私は誰?」というキャリアの遭難状態に陥ります。
この記事では、あなたが自分の人生の船長になるための「キャリアプランの描き方」を、具体的なフレームワークと物語を交えて解説します。 これを読み終わる頃には、霧が晴れるように、進むべき航路が見えてくるはずです。
そもそも、なぜキャリアプランが必要なのでしょうか? 「計画通りになんていかないのが人生でしょ?」という意見も一理あります。 (これを「プランド・ハプンスタンス理論(計画された偶発性)」と言いますが、これはあくまで「芯がある人」にのみ適用されるポジティブな理論です)
芯(プラン)がないまま流されると、以下のような「3つの不幸」が待ち受けています。
自分のゴールがない人は、他人のゴールに利用されます。 会社の上司、親、世間体。 「普通はこうするべきだ」「この部署に行ってくれ」という他者の要請に従い続け、40代になってふと立ち止まった時、「あれ? 私の人生って何だったっけ?」と虚無感に襲われます。
「なんとなく英語が大事そうだからTOEIC」「次はプログラミングかな」 一貫性のないスキル習得は、結局どれも中途半端に終わります。 キャリアプランがあれば、「将来〇〇になるために、今はこれを学ぶ」という背骨が通り、スキルの掛け合わせ(シナジー)が生まれます。
会社が倒産した、リストラされた、あるいは心身を壊した。 そんな不測の事態が起きた時、プランがない人はパニックになります。 「自分の市場価値はどこにあるのか」「次はどこを目指せばいいのか」 平時のうちに地図を描いておくことで、緊急時にも冷静に舵を切ることができます。
キャリアプランを作る上で、最も有名かつ実用的なフレームワークが、リクルート社でも使われている「Will-Can-Must」の輪です。 この3つの輪が重なる部分が、あなたの「キャリアのスイートスポット(最適解)」です。
【見つけるヒント】 過去の経験を振り返り、「時間を忘れて没頭したこと」や「誰かに感謝されて嬉しかったこと」を書き出してみましょう。 逆に、「これだけは絶対にやりたくないこと」を書き出すのも有効です(Willの裏返し)。
【見つけるヒント】 「自分では当たり前にやっているけど、人から『すごいね』と言われること」があなたの強みです。 自己評価だけでなく、同僚や上司に聞いてみるのも良いでしょう。
【統合のプロセス】 理想的な状態は、この3つが大きく重なり合っている状態です。 しかし、若手のうちは「Can」と「Must」が小さく、「Will」ばかりが大きい、あるいは「Must」に押しつぶされて「Will」が見えなくなっていることが多いです。
キャリア戦略とは、この3つの輪をどう広げ、どう重ねていくかの物語を描くことです。
では、実際に手を動かしてみましょう。 紙とペン(あるいはスマホのメモ帳)を用意してください。 「現在」「3年後」「5年後」「10年後」の4つのマイルストーンを設定します。
遠い未来から逆算します。できるだけ具体的に妄想してください。 制限はありません。今の能力などは無視してOKです。
【例】10年後の私(35歳)
10年後のゴールに到達するために、半分地点でどうなっているべきか?
【例】5年後の私(30歳)
より現実的な目標です。今の会社で達成すること、転職準備など。
【例】3年後の私(28歳)
ここが一番大事です。「いつかやる」は「一生やらない」です。 3年後の目標のために、明日何ができますか?
【例】明日やること
キャリアプランを作ると、「計画通りにいかなかったらどうしよう」と不安になる人がいます。 安心してください。計画通りになんていきません。
会社の辞令、予期せぬトラブル、あるいはあなた自身の心変わり。 人生には不確定要素が多すぎます。 だからこそ、キャリアプランは**「下書き」**でいいのです。
半年に一度(例えば誕生日と年末年始)、自分のプランを見直す時間を作りましょう。 「3年前は営業マネージャーになりたいと思ってたけど、今は企画の方が面白いな」 そう感じたら、プランを書き換えればいいのです。
重要なのは、「プランに縛られること」ではなく、「常に自分の立ち位置と方向性を確認すること」です。 カーナビも、道を間違えたら「ルートを再検索します」と修正してくれますよね。 あなたも、人生のルート再検索を恐れないでください。
最後に、キャリアプランを持つことで人生が変わったCさんの実話を紹介します。
Cさん(26歳・事務職)の悩み 「毎日ルーチンワークで成長実感がない。給料も上がらない。でも特別なスキルもないし…」
Will-Can-Mustとの出会い 彼女は「場所にとらわれず自由に働きたい(Will)」という強い想いに気づきました。 しかし現状のCanは「正確なデータ入力」程度。Mustは「今の事務作業をミスなくこなすこと」。 圧倒的にCanが足りていません。
キャリアプランの策定 彼女は「3年後にリモートワーク可能なIT企業への転職」を目標にしました。 そのために必要なCanは「ITスキル」と「業務改善実績」。
行動 彼女は独学でExcelVBA(マクロ)を勉強し始めました。 そして、今の職場で手作業で行っていた集計業務を自動化するツールを作成し、部署全体の残業時間を月20時間削減しました(Mustへの貢献+Canの証明)。
結果 その実績を職務経歴書に書き、転職活動を開始。 「自ら課題を発見し、ITで解決できる人材」として高く評価され、未経験ながらITコンサルティング企業のサポート職へ転職成功。年収は150万円アップし、フルリモート環境を手に入れました。
キャリアプランを描くことは、自分の人生に対する**「オーナーシップ(当事者意識)」**を持つことです。 会社に使われる駒ではなく、自分の意志で動くプレイヤーになること。
白紙の地図に、最初の線を引くのは勇気がいります。 でも、その一本の線が、あなたの未来を切り拓く道になります。
さあ、ペンを持ってください。 あなただけの物語を描き始めましょう。 未来のあなたは、今のあなたが踏み出した一歩に、きっと感謝するはずです。
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