
「この仕事、今日中にお願いできる?」 「え…(もう手一杯なんだけど…帰りたいけど…)はい、分かりました」
「部長の案、ちょっと古いと思うけど言えないな…」
職場で、こんな風に自分の気持ちを飲み込んでいませんか? 日本人は「和」を尊ぶあまり、自分の意見を主張することを「ワガママ」「空気が読めない」と捉えがちです。 その結果、我慢して我慢して、ある日突然メンタルが爆発するか、身体を壊してしまう。 あるいは、溜まったストレスを家庭や後輩にぶつけてしまう。
これでは誰も幸せになりません。
自分の権利を守りながら、同時に相手の権利も尊重する。 そんな魔法のようなコミュニケーション技法が心理学には存在します。 それが**「アサーション(Assertion)」**です。
この記事では、言いたいことが言えない「ドラえもんののび太くん」タイプの人でも、明日から実践できるアサーティブな伝え方の型(DESC法など)を、豊富な会話例とともに解説します。
心理学では、人間の自己表現を3つのパターンに分類します。ドラえもんのキャラクターに例えると分かりやすいです。
目指すべきはここです。 しずかちゃんは、のび太のダメなところを指摘する時も、ジャイアンの理不尽な要求を断る時も、相手を否定せず、でも自分の意思ははっきり伝えますよね。 あれがアサーションです。
「アサーティブになりたいけど、勇気が出ない」 その背景には、幼少期から刷り込まれた**「不合理な思い込み(イラショナル・ビリーフ)」**があります。
まずは、この思い込みを書き換える必要があります。
【リフレーミング(書き換え)】
アサーション権(Assertion Rights)という言葉があります。 「私たちには、自分の意見を述べ、感情を表現し、頼みを断る権利がある」 誰もが生まれながらに持っている基本的人権です。これを行使することに罪悪感を持つ必要はありません。
具体的なテクニックに入ります。 アサーションの基本となるのが、DESC(デスク)法です。 以下の4ステップで文章を組み立てます。
【実践例:定時直前に残業を頼まれた時】
上司:「悪い、これ急ぎで今日中に終わらせてくれないか?」
× 非主張的(のび太) 「え…あ、はい…。分かりました(本当は今日デートなのに…)」
× 攻撃的(ジャイアン) 「無理です! 今何時だと思ってるんですか! 自分の仕事が終わってないのに押し付けないでください!」
〇 アサーティブ(しずかちゃん)
どうでしょう? これなら、上司も「あ、そうか。じゃあ明日でいいよ」と言いやすいですよね。
批判や注意をする時に使えるのが**「アイメッセージ」**です。 主語を「あなた(You)」にするから角が立ちます。 主語を「私(I)」に変えるだけで、相手は攻撃されたと感じなくなります。
【例:部下が報告をしてこない時】
× Youメッセージ(責める) 「(あなたは)なんで報告しないの? いつも遅いよ!」 → 相手は「うるさいな」と反発する。
〇 Iメッセージ(伝える) 「(私は)連絡がないと、トラブルがあったのかと思って心配になるんだ。早めに教えてくれると(私が)安心できるから助かるよ」 → 相手は「心配かけて悪いことしたな」と反省する。
「正しい・間違い」の議論にするのではなく、「私はこう感じる・こうしてほしい」という個人の要望として伝えるのがコツです。
頭で分かっていても、とっさには出てきません。練習あるのみです。
店員さんに対してアサーションを使う練習です。
過去に「言えなくて後悔した場面」を思い出し、DESC法で台本を書き直してみる。 「あの時、こう言えばよかったんだ」と脳内でリプレイすることで、次に似た場面が来た時に言葉が出るようになります。
アサーションは、単なる「話し方のテクニック」ではありません。 「自分も相手も対等な人間である」という哲学です。
言いたいことを言わずに我慢するのは、一見優しいようでいて、実は「相手が私の本音を受け入れられるはずがない」と相手を見下していることにもなります。 また、「言わなくても察してくれ」というのは、相手に甘えています。
勇気を出して、自分の境界線(バウンダリー)を守ってください。 「No」と言うことは、自分にとって本当に大切なものに「Yes」と言うことです。
あなたが自分らしく、爽やかに自己主張できる日が来ることを応援しています。 最初は小さなことからで大丈夫。 まずは今日のランチで、先輩に流されず「私はこれが食べたいです」と言ってみることから始めませんか?
「断り下手診断」であなたのコミュニケーションのクセを見抜きます。
ストレスフリーな人間関係を築くための第一歩。
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