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メンタル・マインドセット

【アサーション入門】言いたいことが言えないあなたへ|相手を傷つけずに「NO」を伝える技術

2026年1月12日
Cheese Editorial Team
7分で読めます
【アサーション入門】言いたいことが言えないあなたへ|相手を傷つけずに「NO」を伝える技術

「この仕事、今日中にお願いできる?」 「え…(もう手一杯なんだけど…帰りたいけど…)はい、分かりました」

「部長の案、ちょっと古いと思うけど言えないな…」

職場で、こんな風に自分の気持ちを飲み込んでいませんか? 日本人は「和」を尊ぶあまり、自分の意見を主張することを「ワガママ」「空気が読めない」と捉えがちです。 その結果、我慢して我慢して、ある日突然メンタルが爆発するか、身体を壊してしまう。 あるいは、溜まったストレスを家庭や後輩にぶつけてしまう。

これでは誰も幸せになりません。

自分の権利を守りながら、同時に相手の権利も尊重する。 そんな魔法のようなコミュニケーション技法が心理学には存在します。 それが**「アサーション(Assertion)」**です。

この記事では、言いたいことが言えない「ドラえもんののび太くん」タイプの人でも、明日から実践できるアサーティブな伝え方の型(DESC法など)を、豊富な会話例とともに解説します。


第1章:あなたはどのタイプ? コミュニケーションの3つの型

心理学では、人間の自己表現を3つのパターンに分類します。ドラえもんのキャラクターに例えると分かりやすいです。

1. 攻撃的タイプ(ジャイアン)

  • 特徴:自分の意見を押し通す。相手の気持ちは無視。「俺のものは俺のもの」。
  • 心理:自分が正しい、相手を支配したい、実は自信がない裏返し。
  • 結果:一時的には要望が通るが、長期的には敵を作り、孤立する。

2. 非主張的タイプ(のび太)

  • 特徴:自分よりも相手を優先する。断れない。曖昧な表現で逃げる。
  • 心理:嫌われたくない、揉めたくない、自信がない。
  • 結果:ストレスが溜まる。都合の良い人として利用される。「なんで察してくれないの?」と被害者意識を持つ。

3. アサーティブなタイプ(しずかちゃん)

  • 特徴:自分の気持ちも伝えるし、相手の気持ちも聞く。対等な関係。
  • 心理:自分もOK、相手もOK(I'm OK, You're OK)。
  • 結果:ストレスがなく、信頼関係が深まる。

目指すべきはここです。 しずかちゃんは、のび太のダメなところを指摘する時も、ジャイアンの理不尽な要求を断る時も、相手を否定せず、でも自分の意思ははっきり伝えますよね。 あれがアサーションです。


第2章:なぜ言えないのか?「心のブレーキ」を外す

「アサーティブになりたいけど、勇気が出ない」 その背景には、幼少期から刷り込まれた**「不合理な思い込み(イラショナル・ビリーフ)」**があります。

  • 「相手の頼みを断ったら嫌われる」
  • 「上司の意見には従わなければならない」
  • 「常に空気を読むべきだ」

まずは、この思い込みを書き換える必要があります。

【リフレーミング(書き換え)】

  • 断ったら嫌われる → 断るのは「用件」であって「人格」ではない。誠実に断れば信頼される。
  • 上司に従うべき → 上司も人間だから間違える。部下が指摘するのは組織への貢献だ。
  • 空気を読むべき → 言葉にしないと伝わらない。察してもらうのを期待するのは甘えだ。

アサーション権(Assertion Rights)という言葉があります。 「私たちには、自分の意見を述べ、感情を表現し、頼みを断る権利がある」 誰もが生まれながらに持っている基本的人権です。これを行使することに罪悪感を持つ必要はありません。


第3章:実践! 相手を傷つけずに断る「DESC法」

具体的なテクニックに入ります。 アサーションの基本となるのが、DESC(デスク)法です。 以下の4ステップで文章を組み立てます。

  1. Describe(描写する):客観的な事実だけを伝える。
  2. Express(表現する):自分の主観的な気持ちや状況を伝える。
  3. Specify(提案する):具体的な解決策・代替案を提示する。
  4. Choose(選択する):相手の反応に応じた選択肢(Yes/No)を用意する。

【実践例:定時直前に残業を頼まれた時】

上司:「悪い、これ急ぎで今日中に終わらせてくれないか?」

× 非主張的(のび太) 「え…あ、はい…。分かりました(本当は今日デートなのに…)」

× 攻撃的(ジャイアン) 「無理です! 今何時だと思ってるんですか! 自分の仕事が終わってないのに押し付けないでください!」

〇 アサーティブ(しずかちゃん)

  1. D(事実):「今からこの仕事を仕上げるとなると、2時間はかかりますね」
  2. E(気持ち):「実は今日、どうしても外せない用事がありまして、定時で退社したいと考えており、困っています」
  3. S(提案):「明日の朝一番(9時から)の対応でもよろしければ、私が責任を持ってやらせていただきますがいかがでしょうか?」 ※もし今日中でないとダメなら、「半分だけならできます」等の妥協案。
  4. C(選択):「もし明日朝でOKなら受諾します。どうしても今日中であれば、申し訳ありませんがお引き受けできません(他の人にお願いできますか)」

どうでしょう? これなら、上司も「あ、そうか。じゃあ明日でいいよ」と言いやすいですよね。


第4章:言いにくいことを伝える「アイ(I)メッセージ」

批判や注意をする時に使えるのが**「アイメッセージ」**です。 主語を「あなた(You)」にするから角が立ちます。 主語を「私(I)」に変えるだけで、相手は攻撃されたと感じなくなります。

【例:部下が報告をしてこない時】

× Youメッセージ(責める) 「(あなたは)なんで報告しないの? いつも遅いよ!」 → 相手は「うるさいな」と反発する。

〇 Iメッセージ(伝える) 「(私は)連絡がないと、トラブルがあったのかと思って心配になるんだ。早めに教えてくれると(私が)安心できるから助かるよ」 → 相手は「心配かけて悪いことしたな」と反省する。

「正しい・間違い」の議論にするのではなく、「私はこう感じる・こうしてほしい」という個人の要望として伝えるのがコツです。


第5章:トレーニング方法「アサーション・ロールプレイ」

頭で分かっていても、とっさには出てきません。練習あるのみです。

1. コンビニ・レストランで練習する

店員さんに対してアサーションを使う練習です。

  • 注文と違う料理が来た時、我慢せずに「これ違います」と言う。
  • レジで「袋いりません」とはっきり言う。 ここから始めましょう。

2. 書き出しワーク

過去に「言えなくて後悔した場面」を思い出し、DESC法で台本を書き直してみる。 「あの時、こう言えばよかったんだ」と脳内でリプレイすることで、次に似た場面が来た時に言葉が出るようになります。


まとめ:自分を大切にすることは、相手を大切にすること

アサーションは、単なる「話し方のテクニック」ではありません。 「自分も相手も対等な人間である」という哲学です。

言いたいことを言わずに我慢するのは、一見優しいようでいて、実は「相手が私の本音を受け入れられるはずがない」と相手を見下していることにもなります。 また、「言わなくても察してくれ」というのは、相手に甘えています。

勇気を出して、自分の境界線(バウンダリー)を守ってください。 「No」と言うことは、自分にとって本当に大切なものに「Yes」と言うことです。

あなたが自分らしく、爽やかに自己主張できる日が来ることを応援しています。 最初は小さなことからで大丈夫。 まずは今日のランチで、先輩に流されず「私はこれが食べたいです」と言ってみることから始めませんか?

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